日本禁煙推進医師歯科医師連盟では、学術発表と会員の情報交換の場として年1回学術総会 を開催しております。皆様のご参加をお待ちしております。日時等は改めてお知らせ致します。




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小児疾患

 

1, 妊婦の喫煙で小児に行動障害リスク   メディカルトリビューン 01 Dec 1997
シカゴ大学精神科のLauren S. Wakschlag博士らは『Archives of General Psychiatry』(54:670-676)で「妊娠中に喫煙していた母親から生まれた児では,行動障害を生じるリスクが高い」と報告した。

 今回の研究では 7 ~12歳の男児177名を 6 年間追跡。その結果,母親が妊娠中にたばこを 1 日10本以上吸っていた群では,母親の妊娠中の喫煙本数が 1 日当たり10本以下であった群(非喫煙者を含む)と比べ,行動障害を生じるリスクが4.4倍に達することが明らかになった。
 同博士は「母親の喫煙が,脳におけるセロトニン取り込みの変化や,DNA合成およびRNA合成の変化をはじめとする神経機能の変化を引き起こすのではないか」としている。
 さらに,同博士は「行動障害のある子供は生涯の間に,刑事裁判や精神医療,特殊教育などを必要としたり,薬物を乱用したりする可能性がきわめて高く,社会に莫大なコストを負担させることになる。喫煙と行動異常との因果関係が確認されれば,妊婦の喫煙を減らすための介入は,行動障害の有病率を低下させるきわめて有力な方法となる」と述べている。
 ニューヨーク病院産科・母子医学科の部長である,コーネル大学(ニューヨーク)産婦人科のFrank A. Chervenak教授は「今回の研究は喫煙によって生じる精神障害について新たに報告したものだが,たばこに含まれる成分には,もともと胎児や小児に害を与える恐れがあることを考えると,別に不思議なものではない」と述べている。
 また,同教授は「妊娠中の喫煙リスクの説明は,産科医が行うべきルーチンな出産前ケアの 1 つであるが,そうした説明は懐妊前に行われるのが理想的だ」と述べている。

 

2, 香港で小児の喫煙が流行  メディカルトリビューン 31 Jul 1997
香港大学地域医療学科のAnthony Hedley部長らは,香港の小児の喫煙はこれまで以上に増加しており,それは若者をターゲットとしたたばこ産業の広告と香港政府がその広告を規制する法律をなかなか制定しないためだ,と当地で開かれた第 9 回アジア小児科学会で報告した。

 Hedley部長らはランダムサンプルの研究で,1992年には小学 3 年生( 7 ~ 8 歳)の 6 %,小学 6 年生(10~11歳)の19%が喫煙したことがあることが分かったという。また,中学 1 年生(12~13歳)の約21%と中学 3 年生(14~15歳)の約37%が喫煙していた。
 この結果は,喫煙したことがあると報告した小児の咳,痰および喘鳴のリスク上昇と一致していた。試しに喫煙を行っている段階ではリスクが30%,日常的に喫煙している段階ではリスクが190%上昇していた。小学校で最初に喫煙を体験する平均年齢は7.1歳だった。
 Hedley部長らは,たばこの広告とプロモーションが全くなく,すべての年齢層で禁煙が正常な生活である社会で暮らす権利を小児は持つべきである,と医療専門家が意見するように要求した。
 香港一般家庭調査によると,たばこ関連疾患は小児の健康問題であり,日常的に喫煙する成人の65%が19歳未満に喫煙を開始していることが確認されている。

 

3, 妊娠中の喫煙量減少で低出生体重児出産リスクが低下   メディカルトリビューン 22 Aug 1997
バーモント大学(バーリントン)健康増進研究部のRoger H. Secker-Walker部長らは,妊娠中の喫煙の危険性に関する新しい研究を行い,妊娠中に禁煙するか,または少なくとも 1 日の喫煙本数を減らした妊婦では,低出生体重児を出産する可能性が有意に低下することが認められたと『Ob-stetrics & Gynecology』(89:648-653)で報告した。これは医師が妊婦に禁煙または節煙を勧める際に役立つ資料となるだろう。

禁煙で出生体重が250g増加

 

 Secker-Walker部長らは妊婦392人を対象として,最初の出生前受診時と妊娠36週目に妊婦に 1 日に何本喫煙しているかを聞き,通常の一酸化炭素モニター装置を使って妊婦の呼気中の一酸化炭素を測定したところ,最初の出産前受診以降に 1 日の喫煙本数を 9 本以上減らした者は,喫煙量を減らさなかった者に比べて,出産した乳児の出生体重が100g以上増加する可能性が高かった。
 低体重児出産リスクは喫煙量の増加に伴って増大し,禁煙した女性では低体重児出産が最も少なかった。
 Secker-Walker部長は「この研究は喫煙が出生体重に及ぼす悪影響をはっきりと確認するものだ」と述べている。
 さらに,簡単な回帰方程式を用いて, 1 日の喫煙本数が出生体重に及ぼす影響を調べた。その結果,例えば,最初の出生前受診時に 1 日13本(この時点の平均喫煙本数)吸っていた女性が,妊娠中の本数を 1 日に 9 本減らすと,出産する児の体重は約100g増える計算になる。
 その女性が妊娠中ずっと 1 日に13本吸い続ける代わりに,最初の受診前に完全に禁煙すれば,出産する児の体重は約250g増えるという。
 Secker-Walker部長は「われわれの研究は,どの程度喫煙量を減らせば,どの程度の利益を期待できるかを知る手引きとなるものだ。しかし,いちばん良いのは言うまでもなく完全に禁煙することだ」と強調する。
 この研究では,91人の女性が最初の受診前に禁煙し,110人は妊娠36週までに禁煙した。

胎児の“虐待”をやめよ

 

 イースタンバージニア医科大学(ノーフォーク)産婦人科のPeter Heyl助教授は「妊娠中の喫煙に関しては,今やデータの意味するところははっきりしている。『女性たちよ賢明であれ。禁煙し,胎児に対する虐待をやめよ』ということだ」と言う。
 Heyl助教授は「妊娠は行動を修正する努力を行い,実際に変化を及ぼすためのきわめて良い手段となる」と付け加えた。

喫煙の悪影響を明示

 

 シカゴ郊外にあるイリノイ地域周産期共同診療の開業産婦人科医,Stephen A. Myers博士は「この研究結果は妊娠中の喫煙に関するこれまでの報告を確認するものだが,そのことを強調しすぎてはならない。何よりも重要なのは,禁煙すれば妊娠中の喫煙の悪影響を取り除けることがはっきり示された点にある」と述べている。
 米疾病管理センター(CDC,ジョージア州アトランタ)によると,1994年に米国では,18歳以上の女性の2,300万人近くが喫煙しており,そのうち1,470万人が出産年齢の女性の大部分を含む18~44歳の女性である。

 

4, ~妊娠中の喫煙~ 子供の行動障害リスクが増大   メディカルトリビューン 12 Oct 1999
妊娠中,常習的に喫煙している女性では,その子供に行動障害や薬物依存が起こるリスクが増大することを,コロンビア大学(ニューヨーク)疫学および精神医学のMyrna M. Weissman教授らの研究チームが明らかにし,Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry(38:892-899)に発表した。この研究結果は,妊娠中の喫煙と子供の行動上の問題との間に関連性があることを示唆したこれまでの研究を支持するもの。

問題発生率は数倍に達する

 

 これによると,妊娠中,1 日に10本以上の喫煙をした母親の子供50例と,非喫煙の母親から生まれた97例についての研究で,喫煙する母親から生まれた男児では,思春期までに行動障害が発生するリスクが,喫煙しない母親から生まれた男児の 4 倍に達することが認められた。
 女児では,喫煙した母親の娘は10代で薬物依存に陥るリスクが,喫煙しない母親の娘の 5 倍に達した。
 以前の研究でも,妊婦が喫煙すると,その子供の注意欠陥・多動性障害(ADHD)のリスクが増大することが示唆されていた。今回の研究ではこの関連性は認められなかったが,ADHD,行動障害および薬物乱用は相互に関連のある行動上の問題で,「この論文はこれまでの研究結果を裏づけるものであり,その点で興味深い」と同教授は述べている。
 これまでに報告されたものとしては,母親の喫煙と小児期の行動障害やADHDをはじめとする行動および注意集中の問題との関連を明らかにする国際的研究が12件ある。ADHDの男児140例および非ADHD男児120例についての1996年の研究では,ADHD群の22%が妊娠中に喫煙した母親を持っていたのに対して,対照群ではこれが 8 %にすぎなかった。
 今回の研究でWeissman教授らは,10年の間に 3 回,母親と子供に面接して,離婚歴や親子関係の善し悪しなど,家族生活の細部を記録した。また,親が心理的問題の既往歴を持たないか,母親にアルコール乱用や薬物依存の前歴はないかなども調べた。これらのリスク要因を排除したのちにも依然として,母親の喫煙は,その女児の薬物依存,男児の行動障害との関連性を示した。

5, 妊娠中喫煙を続けた女性は注意欠陥多動性障害児出産リスクが高い
   メディカルトリビューン 20 Jun 1997

ハーバード大学(ボストン)精神医学のJoseph Biederman教授らは,妊娠中喫煙を続けた女性では,妊娠中 喫煙しなかった女性に比べて,胎児に注意欠陥・多動症候群(ADHD)が生じるリスクが 3 倍近く高くなる, と『American Journal of Psychiatry』(153:1138-1142)で報告した。
この研究結果は,生殖年齢の女性の喫煙を思いとどまらせるための反喫煙プログラムにさらに弾みをつけるものとなるだろう。

 

喫煙女性の子供はIQも低い

 

 米疾病管理センター(CDC,ジョージア州アトランタ)によると,1994年に米国で喫煙する18歳以上の女性の 数は2,300万人近くにのぼった。このうち1,470万人は生殖年齢の女性の大部分を占める18~44歳の年齢層に属するものだった。
 Biederman教授らは,6 ~17歳のADHDの男子140例と,正常男子120例について調査を行った。 その結果,ADHDの男子では母親の22%が妊娠中に喫煙していたのに対して,正常男子の母親では, 妊娠中に喫煙していた者が 8 %であることが分かった。
 さらに,妊娠中に喫煙していた母親の子供は,喫煙しなかった母親の子供よりIQも低かった。
 CDC喫煙と健康課のDonald J. Sharp博士は「これらの結果は,母親の妊娠中の喫煙とその子供の認識 および行動障害との関連性を裏づけた以前の研究結果と一致するものだ」と述べている。
 Biederman教授らによると,子供のADHDのリスクは母親の妊娠中の喫煙の結果増大し,母親の社会経済的 位置,母親や父親のIQ,あるいは親のどちらかが子供のころにADHDだったか否かなどとは関連が認められない。
 ADHDを発症した子供の母親は,人よりも妊娠中に禁煙することが難しかったか,あるいは発達する胎児に 及ぼすたばこの悪影響についての認識が足りなかったのだろう。

ニコチンが原因物質か

 

 母親の喫煙とADHDとの関連性は,胎児のニコチンへの曝露によるものかもしれない。 Biederman教授は,妊娠したラットやマウスを使った研究では,ニコチンへの慢性的曝露と子供の多動との 間に関連性があることを示している,と述べた。
 ニコチンが,発達過程の決定的な時期に胎児の脳に損傷を与えるのではないかという仮説もある。 ニコチンが胎盤の血管を収縮させ,発達中の胎児への血液や酸素の量を減少させるのかもしれない。 また,ニコチンがなんらかの生化学的カスケード反応を起こさせ,それによってドーパミンの異常な放出が 起こるという可能性も考えられる。
 Biederman教授らによるこの発見は「なんら驚きではない」と,ADHDの研究者である米国立精神保健研究所 (NIMH,メリーランド州ベセズダ)のF. Xavier Castellanos博士は述べている。
 Castellanos博士らは昨年 7 月,ADHDの男子では,ADHDではない男子に比べて,命令を開始し実行する 特定の脳の構造が小さいことを報告した。
 喫煙が胎児の発達に悪影響を及ぼすことを明らかにした研究は,数十年前から見られるようになり, 妊娠中の喫煙は低出生体重児を増加させ,乳児突然死症候群(SIDS)や精神遅滞のリスクを増大させることが認められている。

6, 喫煙が乳児臍仙痛の引き金に
メディカルトリビューン 2001年10月4日 (VOL.34 NO.40) p.02

オルフス大学(オルフス)免疫学・社会医学のCharlotte Sondergaard氏はPediatrics(108:342-346)で 「母親が妊娠中や出産後に 1 日15本以上のたばこを吸っていると,その乳児が乳児臍仙痛に見舞われる リスクは倍増する」と報告している。
このデータは1,820人の母親とその 8 か月になる第一子を対象に行った調査の結果,得られたものである。